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とりあえず、ペンと紙さえあればいい

趣味の創作を中心に色々書いてます。

「有頂天家族」ネタばれ感想

小説 感想

有頂天家族

森見登見彦・著/幻冬舎文庫

 

あらすじ

京都にて人間と天狗、狸が三つ巴で暮らしているという現代ファンタジー。

狸の名門下鴨家は当主だった総一郎が死んでから、落ちぶれ気味。

下鴨家の三男矢三郎は人間に化けながら、落ちぶれ天狗の赤玉先生の世話を焼きながら暮らしているうちに、ライバル狸の夷手川家との政争へと巻き込まれながら、総一郎の死の真相を知ることとなる。

2013年にアニメ化もされ、こちらも面白いです。特に、OPソングとEDソングは見事にハマっているように思いますし、キャラクターデザインを手がけたのが、「勝手に改蔵」や「さよなら絶望先生」の作者久米田康治が担当しています。

2016年にはアニメの続編の製作が決定しています。

 

設定がすごい

総一郎は金曜倶楽部という人間の集団に食われました。

ピーターラビットのお父さんも同じく人間にパイにされたのですが、こちらは鍋です。

こういう設定の小説はあまり読まないので、インパクトを感じます。

物語とは関係がないのですが、野性動物は江戸時代にも食べられていましたが、狸だけは食べなかったそうです。

理由は身がとても臭く、どんな薬味を使っても臭いを消せず、食べられなかったからだそうです。

そんな狸を食べる金曜倶楽部の面々はスゴイと思います。

 複雑で読み応えのある物語なので、序盤は設定の説明と伏線が多いですが、後半からスピード感のある怒涛ともいえる展開となります。

 

魅力的な登場人物

キャラクターの個性がとても豊かです。

天狗の赤玉先生に誘拐されて天狗教育を受けた弁天の冷徹さは見もの。

弁天は金曜倶楽部の一員で、総一郎と知りながら、食べたという豪のものです。

「だって、人間だもの」というセリフが印象的です。

センスの悪いTシャツを着ているかと思えば、京都大阪神戸を股にかけた遊興三昧で、その金は一体どこから調達しているのだろうと思わずにはいられません。

誘拐された当初は可愛らしかったのに、その豹変ぶりは実家に帰っても「どちらさんですか?」と言われそうなレベルです。っていうか、一度くらいは実家に帰ったのかなー。

冷徹美女の弁天とはま逆なのが、夷手川海星です。

夷手川家の娘で、矢三郎のいとこにして元許嫁で、とってもしっかり者です。

矢三郎とは幼馴染でもあり、決して、矢三郎の前に姿を見せることはありませんが、感情豊かな勝気なお嬢さんだということが伝わってきます。

矢三郎の師匠でもある赤玉先生は当時、未成年だった弁天(本名鈴木聡美)を誘拐するも、その後、弁天に足蹴にされたことがキッカケで、すっかり落ちぶれ、今では天狗ならではの肥大化したプライドだけを引っ提げ、偉そうにしている独居老人となっています。

落ちぶれているのに、言うことは偉そうなので、そのギャップにクスリとしてしまいます。

他の森見登見彦作品との微妙なリンクと続編

他の作品にも「電気ブラン」「○曜倶楽部」というのが登場するものがあり、知っていると思わずニヤリとすること請け合いです。

有頂天家族には続編もあり、第2巻ではとうとう赤玉先生の秘蔵っ子である2代目が登場し、弁天と衝突をします。

完結巻ではなく、起承転結の承の部分のような印象で、完結編を読みたいという気持ちにさせられます。

ここまでお読み下さり、ありがとうございました。