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『異世界人in地球』インタビュー記事

Earth

昨今、私たちが住む地球に異世界から様々な人や生き物が流れついてくるようになった。

何故、彼らが私たちの住む地球にやって来たのか?
理由のほとんどは、「気がついたら、地球にいた」「いつの間にかいた」とまるで元の世界で神隠しにあったかのようなものがほとんどで、何一つ原因が分かっていない。

最近では異世界人たちが住んでいた元の世界と私たちの世界を区別するために、私たちの世界を、「地球界」と呼ぶようになってきた。

異世界人たちはどのような人々で、どのような世界に元は住んでいたのかを知るために異世界人たちへのインタビューを開始した。

第一回は、元の世界では魔王という剣呑な職業に就いていたスーゼテ服役囚に話を聞いた。

特別な許可を得て、首都刑務所の面会室にある会話用の穴が開いたアクリル板の壁越しにインタビューは行われた。

部屋へ看守に付き添われて入ってきたスーゼテ服役囚の身長は二メートルほどで、地球の人間の中にたまにいる程度の身長ではあるが、地肌の黄緑色と紫色がこの世界の人間でないことを雄弁と物語っている。顔色はよく分からないが表情はとても穏やかだ。

 

スーゼテ服役囚がこの世界に来たキッカケとは?

――今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。(多少ボソボソと)

――えーと、まずはこの世界に来る前のことからお尋ねしたいと思います。どのような世界に生まれ、どんなご職業に就いていて、お住まいについてお聞かせ願えればと思います。

あー……、あっちの世界では魔王をしていました。魔物のための世界を作るをスローガンに、世界征服を目指していました。主な仕事は部下たちに魔物を率いらせて、人間たちを襲撃することです。当時の住まいは城でした。

――魔物のための世界とは具体的にはどのような世界ですか?

いつも空には厚い雲が掛かり、人間が苦しみ憎しみ合う世界です。

――人間が苦しみ憎しみ合うことが大切なのですか?

(大きく頷いて)人間の苦しみこそが我々魔族のエネルギーとなるのです。

――そうですか。じゃあ、この世界だと結構、エネルギーはない感じですか?

いえ。結構、あります。元いた世界よりも地球界の人々は苦しんでいます。何故なのかは地球界には疎いので分かりませんが……。

――そうですか。魔王や魔族がいないととても平和で住みやすい世界だったんでしょうね。

どうでしょう……。あっちの世界で長い間、暮らしてはいましたが、人間についてはよく分からないもので……。

――お話から少なくともあちらの世界の人間社会にはブラック企業はないんだろうなということは分かりました。ところで、スーゼテさんといえば、この地球界に着た直後に、地球界を征服しようと大暴れをしましたね。その力があっても、あっちの世界の制服は出来なかったんですよね?

……はい。そのぉ。魔族なので人間よりは優れている自信はあるのですが……、なかなかうまくいかなくて。なんというか、作戦が悪いんですかね。そうこうする内に、勇者とかいうのが出てきて、魔族たちが倒されるんですよ。それで、魔族の勢力が回復してきた頃にもう一度、世界征服を企むんですね。基本、その繰り返しですね。

――そうですか。なかなか世界征服って難しいものなんですね。

えぇ、まぁ。こっちの世界でも失敗しましたし(自嘲気味に笑う)。

――では、こっちの世界にきた経緯についてお聞かせ下さい。

ある日の朝、なんか知らない内に、首都のど真ん中に立っていたという感じでしょうか。

――他の方も大体、そんな感じですね。なんなんですかね、あれ?

さぁ。

世界征服事件をスーゼテ氏本人が語る

――それでは、世界征服事件の顛末についてお聞かせ下さい。

ハァ。その件は非常に申し訳ないことをしたなーと。この世界に来て戸惑っていたのですが、まずは魔王なんだから、世界を征服しないとなーと思いまして。それに、魔族が暮らしやすい世界を作ることが出来れば良かったので、征服するのはどこの世界でも良かったんですね。世界を征服しても、故郷に帰れるかどうか分かりませんでしたが、世界を征服すれば、一応、故郷に錦は飾れるので。

――街を破壊したり、すごかったですよね。

すみません……。

――自衛隊が出撃した時は、自衛隊って大丈夫なのかな、本当に戦えるのかなって皆、思っていたと思うんですよ。

まさかあんなに大量の攻撃を浴びるとは思いませんでした。自分の世界ではそういう大量の攻撃というものはなかったもので……。精々、剣と魔法でちまちまと攻撃するくらいで……。

――じゃあ、爆撃機やミサイルにはかなり驚きましたか?

はい

自衛隊爆撃機やミサイルなどあらゆる手段で、スーゼテ服役囚を追いこみ、これに他の異世界人も協力者という名目で戦闘に参加。
スーゼテ服役囚は自衛隊の圧倒的な物量に勝つことが出来ず、捕らえられたのである。
その後、スーゼテ服役囚は裁判を経て、刑務所に収監された。

――もう刑務所で暮らし始めてから半年ですが、現在の暮らしはどうですか?

まるでパラダイスですね。人間と戦わなくても……三食食べられるし。この世界のことを先生が丁寧に教えてくれますし。それに、もう世界征服のために戦わなくてもいいんだと思うと、肩の荷が下りて、気が楽になりましたね。あっちの世界にいた頃はいつ勇者に倒されるのかビクビクしていましたし、部下がまた勇者に倒されたと聞く度に嫌な気持ちになったりして……。とにかく、殺伐としていたんで、今が本当にいいですね。元の仲間たちもこの刑務所に呼び寄せて、ずっと一緒に暮らせたらいいなーと思います。(エヘエヘ笑いながら)

――あの……刑務所は寮とかじゃないんですけど……。ところで、出所するのはずっと先のことではあるのですが、出所したら何をしたいですか?

いやぁ。出来れば、ずっと刑務所にいたいです。もう刑務所が病みつきです。もし出所しても、また頑張って戻ってこようと思います。

――え? あの、ご自分の立場、分かってます? えっと、今日はありがとうございました。

 

この作品は『小説家になろう』にも投稿させていただいております。

こんな馬鹿げたものをここまで読んでいただき、ありがとうございました。