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とりあえず、ペンと紙さえあればいい

趣味の創作を中心に色々書いてます。

【2次創作】WIXOSSアン小説1

 森里中学校は昼休みを迎えていた。

 2年生の安野杏(あんのあん)という韻を踏んだような名前を持つ少女の元に、まるで子犬のような愛らしさを持つ佐々木萌(ささきもえ)がやって来た。

 萌はまだ1年でセミロングのサラサラの髪に、クリクリとした黒い瞳がとても可愛いく、制服のブレザー姿がよく似合っている。

 一方の杏はつり目で自信に満ち溢れ、少し近寄りがたい雰囲気を持っている。

 それは旧家のお嬢様という育ちの良さが起因しているのかもしれない。

 萌はニコニコと、

「杏先輩! 一緒にご飯食べよう!」

「いいわよ」

 萌の敬語がなってないことにももう慣れた。

 杏が取り出したのは純和風のおかずで構成された全体的に茶色いお弁当。箱だけがパステルカラーで可愛らしい。

 一方の萌はカラフルなキャラ弁。恥ずかしいくらいに可愛い。

 萌はいつもよりも嬉しそうにしていた。

「何かあったの?」

 杏と萌は同じ演劇部の部員で、萌が杏に子犬のように懐いていた。

「もうすぐ文化祭が近いね」

「そうね。でも、練習も厳しくなるわ。今年の演目は不思議の国のアリスだから、良い芝居にしたいわね」

 主役のアリスを始め、主要な配役は文化祭で引退となる3年生が担当していて、2人は端役兼大道具兼小道具兼衣装と裏方を一手に担当していた。

 これは伝統的なもので、来年には杏が主要キャストを担当することになるはずだ。

 萌はこれに不満があるらしく、

「絶対、杏先輩のほうが演技上手だから、アリスに向いてるのにー」

「来年、何かしら私もいい役をやるわ。それに今の裏方だって嫌いじゃないわ」

 予算があまりないので、大道具のセットはあまり用意出来ないし、小道具も衣装も安物だ。

 萌はそれでも余裕しゃくしゃくで、

「だって、杏先輩のほうが部の中でも人気があるしー」

「まさか。煙たがられているだけよ」

 杏は幼い頃から観劇が趣味の祖父母に芝居に付き合わされ、旧家のお嬢様としてお茶や踊り、絵画、楽器といった習い事をさせられ、お嬢様らしさを常に要求されてきた。

 そのため、演劇の目が肥えていることもあり、演劇部内の芝居の演出にしばしば口を挟んできたため、先輩からは煙たがられているというのが、正直なところだった。

「でも、杏先輩のアドバイスは分かりやすいって評判です」

「全くあなたって子は……」

 萌はふいに、

「あのね、杏先輩にだけ教えてあげる。とても嬉しいことがあるの」

「何?」

「絶対、近い内に杏先輩は文化祭の主役になれるから楽しみに待ってて」

「別にやらなくてもいいわ。先輩たちが主役をやらなきゃいけないの」

「先輩下手くそなのに。萌は杏先輩のアリス見たい」

 萌はセーラー服のスカートからケースに入ったカードを1枚取り出した。ファンタジックな衣装をまとった女の子が1人描かれている。

「これは?」

ウィクロス。杏先輩もやりなよ。良いことあるから。これで、杏先輩の主役は決定だよ」

 萌はそう言って、ニコリと笑った。

 ウィクロスは現在、学校で流行っているトレーディングカードゲームと呼ばれているものだ。

 家族から理想のお嬢様を強要されている杏はクラスメイトたちがプレイしているのを知っていても触ったことはなく、横目で窺いながら家族にプレゼントされたお堅い純文学の小説を眺めていた。

 杏はカードゲームで文化祭の劇の主役になれる訳がないと困惑をするも、萌はただ笑うだけだった。

 

 

あとがき

ウィクロスはとっくに『Lostrage』時代なのに、大好きなアンの2次創作の小説を書きたくなり、このように投稿してしまいました。

人間時代のアンの話になります。

人間時代のアンについては公式のどこかにあるのかもしれませんが、想像が広がりました。アニメでもあまり出番がなかったので、広がりやすかったのでしょう。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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