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とりあえず、ペンと紙さえあればいい

趣味の創作を中心に色々書いてます。

【2次創作】WIXOSSアン小説3

第1話を読んでいない方はこちらからどうぞ。

aisakayo.hatenablog.com

 萌がアリス役の3年の生徒の顔をナイフで刺したことにより、演劇部の文化祭での公演は中止となり、杏は学校では主役をやりたくてたまらずに、萌をたぶらかして、刺させたと卑劣な女子生徒といういわれのないレッテルが貼られることとなった。

 萌が警察に、「杏が主役をやりたそうにしていたから」と証言したことがレッテルに拍車を掛けた。

 学校では非難の目に晒され、敵意を持たれていた。

 警察では杏のクラスメイトが、「杏はお昼ご飯を食べながら、主役をやりたくないと言っていた」と証言してくれたことにより、杏が唆したのではなく、杏に主役をやってほしい萌が勝手にやったことだと結論付け、杏にお咎めはなかった。

 それでも、学校では子犬のように愛らしい女の子を唆した女子生徒として悪意を持って迎えられ、証言をしてくれたクラスメイトも今では申し訳なさそうに、遠巻きに杏を見ているだけだ。

 杏は正直、学校に行きたくなかったし、家庭内では転校の話も出ていたが、上履きに画びょうを入れられるという古典的ないじめを受けても毎日、学校に行き、転校も拒否した。

 理由は、萌が警察にした証言だった。

 萌は、「杏が主役をやりたそうにしていたから」以外にも、「願いを叶えてやったに過ぎない」と証言をした。

 もうすぐ願いが叶って、杏は主役のアリスをやるのだと萌はハッキリと言った。

 自分がアリス役の女子を傷つけて、杏を主役にするという意味には到底思えない。なんというか、萌の言い方では魔法のような何かで杏が主役になるといった調子だったと思う。

 萌は子犬のように愛くるしい顔をしていたが、事件の当日には邪悪な狂犬のような顔つきに変わっていた。まるで別人になってしまったようだった。

 教室で日がな一日座って過ごし、萌のことを考えていると、クラスメイトの一部がウィクロスを始めた。

「!」

 杏は萌が自分にウィクロスのカードを見せたことを思い出し、放課後、カードが売っている店へと向かいたかったが、そのような店がどこにあるのか分からず、誰かに聞くことも出来ずに、仕方なく家に戻り、ウィクロスのスターターとブースターと呼ばれるものをネット通販した。

 家族には友達へのプレゼントだと安心させた。

 数日後、宅配で届けられたスターターとブースターを開封していく。

 ブースターの紙を開けると、1枚のカードに書かれた少女の目が瞬いた。溶けかけの氷のように優しい瞳をしていた。

「? 動いた?」

 杏は分からず、カードを裏返したりしながら、

「目が動くような仕組みになってるのかしら」

「違う」

「!」

 カードからハッキリと声が聞こえたことに驚きを隠せずにいると、カードの中の少女は続けた。

 見た目はおとぎ話の王子様のような格好をしていて、大きなつばと羽がついた帽子に黒いショートヘアと無表情が特徴的だった。

「私はジャンヌ。ルリグ」

「ルリグ?」

「あなたはセレクターに選ばれた」

セレクター?」

「三回連続でバトルに勝つと、あなたは夢限少女となり願いが叶う」

「願い?」

 杏の食いつきを見て、ジャンヌは一瞬たじろいだが、すぐに無表情に戻ると、

「そう」

「どんな願いも?」

「どんな願いも」

 ジャンヌは頷いた。

 萌が言っていたのはこのことだったのだろうか。そして、萌はセレクターだったのだろうか?

「願いは本当に叶うの? 萌の願いは叶ってないわ」

「? 萌?」

「萌はウィクロスで私を劇の主役にすると言ったけれど、主役の3年生の顔を斬りつけてしまったの。結果、劇はなくなっちゃたわ……」

 ジャンヌは一言だけ、

「バトルをするのもしないのもあなた次第。3回連続で負けると願いが反転してあなたに悪いことが起こる」

 溶けていく氷のように悲しさを秘めた瞳で言った。

 

 

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